10台・100台・1,000台で変わる製品の作り方、台数別の設計・調達戦略
素晴らしいアイデアを形にするために試作に取り組んだものの、いざ製品化となると、どこから手をつけて良いか途方に暮れる方は少なくありません。特に「何台作るか」という目標生産台数によって、設計の進め方から部品の調達、製造のプロセスまで、製品の作り方は大きく変わります。
漠然と「製品化したい」と考えるのではなく、まずは目標とする台数を具体的に設定することが、最適な製品化戦略を立てるための第一歩です。ここでは、目標台数に応じた製品づくりの考え方と、それに合わせた設計・調達のポイントを解説します。
目標生産台数が製品化戦略の鍵を握る理由
製品を世に出すためには、開発にかかる「初期投資」と、製品1個あたりの「量産単価」という二つのコストを考慮する必要があります。この二つのバランスは、目標とする生産台数によって大きく変動します。
少量生産では、初期投資を抑えることが重要になります。そのため、部品単価が多少高くても、既製品を活用したり、簡易な加工方法を選んだりするのが一般的です。一方、大量生産を目指す場合は、初期投資がかさんでも、部品単価を徹底的に下げることで、トータルコストを抑える戦略が有効になります。
10台〜100台規模:初期投資を抑えるスモールスタート戦略
ごく少数の製品を市場に出したい、まずはテストマーケティングで反応を見たいといった場合に適した規模です。このフェーズでは、初期投資を極力抑えることが最優先課題となります。
具体的には、市販されている汎用ケースや既製のモジュール(Wi-Fiモジュール、Bluetoothモジュールなど)を積極的に活用します。足りない機能や形状の部分だけを設計し、オリジナルの要素は最小限に留めるのが基本です。筐体の加工には、3DプリンターやCNC削り出しが有効な手段となります。
3Dプリンターは機能試作には十分役立ちますが、積層の筋が見えるため、人に見せる製品サンプルとしては不向きな場合もあります。より高い品質を求めるなら、CNC削り出しという選択肢もありますが、1個の加工に10〜13時間かかることがあり、量産には向きません。この規模では、製品の品質や信頼性にも影響が出やすい傾向があります。
100台〜1,000台規模:品質とコストのバランスを見極める
ある程度の需要が見込まれるものの、まだ金型投資に踏み切るにはリスクが大きいと感じる段階です。この規模では、10〜100台の戦略をベースにしつつ、徐々に品質向上とコストダウンを両立させる工夫が求められます。
既製品の活用は続けますが、製品の核となる部分や、他社との差別化を図る部分については、オリジナルの設計を検討し始めます。例えば、汎用基板ではなく、機能を集約したオリジナル基板の設計に移行することで、部品点数を減らしたり、製品サイズを小型化したりすることが可能になります。
この段階では、まだ金型製作には踏み切らず、切削加工やレーザー加工、簡易な樹脂成形など、初期費用を抑えつつある程度の数を生産できる工法を探るのが現実的です。
1,000台以上規模:本格的な量産体制と投資回収
市場での成功が確実視され、本格的な量産体制を構築する段階です。この規模になると、量産単価をいかに下げるかが競争力を左右します。そのためには、初期投資をかけてでも、オリジナルの金型や専用部品を製作するメリットが大きくなります。
金型を製作する場合、日本では1型およそ100万円が目安です。この投資を回収するには、一般的に1,000個以上の生産台数が必要になると考えられます。金型があれば、射出成形などによる大量生産が可能になり、1個あたりの部品単価を大幅に下げることができます。また、オリジナル基板の採用は、コストダウンだけでなく、製品の小型化や機能の最適化にも貢献します。
この規模では、製品を市場に出すために必要な各種認証(技適、PSE、CEなど)の取得も非常に重要です。特に無線通信機能を持つIoT製品や、家庭用電源を使用する製品などは、設計段階からこれらの認証要件を満たすように計画する必要があります。最新の情報は所管機関で確認してください。認証取得には専門的な知識と時間、費用がかかるため、経験のあるパートナーと連携することが成功の鍵を握ります。
目標台数別に見る設計・調達戦略の比較
| 目標台数 | 初期費用 | 部品単価 | 主な工法・調達 |
|---|---|---|---|
| 10〜100台 | 低 | 高 | 既製品活用、3Dプリント、CNC削り出し |
| 100〜1,000台 | 中 | 中 | 既製品活用+一部オリジナル、オリジナル基板検討 |
| 1,000台以上 | 高 | 低 | 金型製作、オリジナル基板、海外OEM/ODM |
サイコス・ジャパンが実現する、目標台数に応じた製品化支援
サイコス・ジャパン株式会社は、1990年の創業以来35年にわたり、製品開発に携わってきました。機構設計から電子回路、基板、組み込みソフト、クラウド、そして量産まで、製品づくりの全工程を一社で取りまとめてきた実績があります。試作段階の製品をお持ち込みいただき、目標台数に応じた最適な製品化戦略をご提案することも可能です。
当社では、小ロット(数百個〜)からの量産にも対応しており、日本での金型製作支援はもちろん、台湾・韓国・中国に直接の取引ルートを活かしたOEM・ODMによる調達支援も行っています。技適やPSE、CEなどの認証取得についても、設計段階からサポートし、お客様の製品がスムーズに市場に出るようお手伝いします。担当者が同じ拠点にいるため、各工程での連携もスムーズに進められます。
試作品はできたものの、その先の製品化で壁にぶつかっている方は、まずはお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。