量産機構

金型費用の見積もりと削減方法、設計変更でどこまでコストを下げられるか

金型費用の見積もりと削減方法、設計変更でどこまでコストを下げられるか

金型費用の見積もりと削減方法、設計変更でどこまでコストを下げられるか

試作段階は順調に進んだものの、いざ製品の量産を考え始めると金型費用が大きな壁になることがあります。特に射出成形を使う樹脂部品は、金型が製品コストの大部分を占めるため、その見積もりと削減は製品化の成否を分ける重要なポイントです。金型費用を適切に見積もり、設計段階でコストを抑える工夫を知ることで、製品化への道筋が見えてきます。

金型費用を左右する基本的な要素

金型費用は、製品の形状、使用する材料、求められる精度、そして金型自体の構造によって大きく変動します。複雑な形状や高い精度が求められる部品、特殊な材料を使用する場合は、金型製作にかかる時間や技術、材料費が増えるため、費用も高くなる傾向にあります。

一般に、日本国内で射出成形金型を1型起こす場合、およそ100万円が目安となります。これはあくまで基本的な構造の金型の場合であり、複雑さが増せばさらに費用は上がります。当社では、お客様の目標とする生産台数や予算に応じて、最適な金型戦略をご提案しています。

金型構造の種類とコストの関係

射出成形金型には、成形品の取り出し方や構造の複雑さによっていくつかの種類があります。それぞれの構造が金型費用に直結するため、部品設計の段階で理解しておくことが大切です。

  • 二枚型(2プレート金型)

最もシンプルな構造で、費用も抑えられます。部品がキャビティ(製品形状を転写する空間)とコア(製品の内側を形成する部分)の二つの型で構成され、型が開閉するだけで成形品が取り出せる場合に使われます。シンプルな形状の部品に適しています。

  • 三枚型(3プレート金型)

ランナー(溶けた樹脂が流れる経路)部分が製品から自動で切り離される構造です。成形後の手間を省けますが、金型構造が複雑になり費用は高くなります。主にゲート位置(樹脂が製品に流れ込む入口)の自由度を上げたい場合に採用されます。

  • スライド型(アンダーカット処理金型)

成形品にアンダーカット(型が開く方向に対して引っかかりとなる形状)がある場合に必要になります。型が複数の方向に動くためのスライド機構や、それらを制御する複雑な構造が必要となり、費用も大幅に上がります。製品のデザインや機能上、アンダーカットが避けられない場合に検討されます。

金型の複雑さが増すほど、設計・加工にかかる工数や高精度な部品が必要となるため、コストは上昇する傾向にあります。

簡易金型と量産金型の使い分け

製品の生産台数や予算によって、最適な金型の選択肢は変わります。試作段階では3DプリントやCNC削り出しが有効ですが、これらは積層痕や加工時間などの制約があり、量産には向きません。人に見せる製品サンプルにはCNC削り出しが使われることもありますが、1個の加工に10〜13時間かかることがあります。

量産を見据える場合、簡易金型と量産金型のどちらを選ぶか検討が必要です。

  • 簡易金型

一般的に耐久性の低い材料(アルミ合金など)で製作され、短期間で安価に作れるのが特徴です。初期費用を抑えたい場合や、数千個程度の小ロット生産に適しています。しかし、生産可能なショット数に限りがあり、長期的な使用や高い精度が求められる場合には向かないことがあります。

  • 量産金型

耐久性の高い鋼材で作られ、数万から数十万ショット以上の生産に耐えられます。初期費用は高くなりますが、一度作ってしまえば生産単価は安く抑えられ、安定した品質を長期間供給できます。

一般に、1,000台以上の生産台数で金型やオリジナル基板への投資が回収できる可能性が出てきます。数百台程度の小ロットであれば、簡易金型や既製品の筐体を活用し、足りない部分だけを設計する方が経済的な場合が多いです。

設計変更による金型費用削減の具体策

金型費用を削減するには、金型設計の初期段階でコストを意識した設計を行うことが最も効果的です。後工程での修正は、時間と費用が大きくかかってしまうため、事前の検討が重要です。

具体的な設計変更のポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • アンダーカットを極力避ける

製品設計の段階でアンダーカットをなくすことができれば、スライド機構が不要になり、金型構造が大幅にシンプルになります。これにより金型費用を大きく削減できます。

  • 抜き勾配を適切に設ける

成形品が型からスムーズに外れるように、垂直な壁にはわずかな傾斜(抜き勾配)を設けます。これにより、成形時のトラブル(型離れ不良、キズなど)を防ぎ、金型の摩耗も抑えられます。

  • 肉厚を均一にする

部品の肉厚をできるだけ均一にすることで、樹脂の冷却収縮によるヒケや反りを防ぎ、成形不良を減らせます。これにより、金型の複雑な冷却機構や成形条件の調整が不要になる場合があります。

  • 部品点数を削減する

複数の部品を一体化する設計は、金型数を減らすだけでなく、組み立て工数も削減できます。部品点数が減れば、それぞれの金型費用も不要になります。

  • 共通部品を活用する

左右対称の部品を共通化したり、同じ金型で複数の製品に使える部品を設計したりすることで、金型数を減らし、費用を抑えることが可能です。

  • 材料選定を見直す

成形しやすい材料を選ぶことで、金型構造を簡素化できる場合があります。また、特殊な材料は金型への負担が大きく、耐久性の高い金型が必要になることがあるため、材料の特性とコストを総合的に検討します。

これらの設計変更は、製品の機能やデザインに影響を与えるため、機構設計の段階で金型メーカーと密に連携しながら進めることが重要です。

サイコス・ジャパンの製品化支援

サイコス・ジャパンでは、お客様がお持ちの試作品を拝見し、その製品化を支援しています。機構設計から電子回路、基板、組み込みソフト、クラウド、そして量産まで、製品づくりの全工程を一社で取りまとめ、担当者が同じ拠点にいるため、各工程での連携がスムーズです。

金型製作においても、日本国内だけでなく、台湾・韓国・中国に直接の取引ルートがあるため、お客様の予算や品質要求に応じた最適な調達先を選定できます。小ロットからの量産にも対応しており、累計出荷数200万個以上の実績があります。

金型費用は初期投資、全体最適で考える

金型費用は製品開発の大きな初期投資ですが、設計段階での工夫や適切な金型選択によって、費用を抑えながら高品質な製品を実現できます。量産を見据えた設計は、金型費用だけでなく、生産単価や組み立て工数、不良率など、トータルコストの削減に直結します。

金型や量産化についてお困りの際は、まず当社にご相談ください。試作品をお持ちの方は、写真と経緯のメモだけでも構いませんので、初回無料相談をご利用いただけます。

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