電子玩具の製品化で必要なこと、安全基準・電池・コストの考え方
電子玩具のアイデアが形になり、試作品ができたとき、次に立ちはだかるのが「製品化の壁」です。特に子ども向けの製品は、大人向けの電子機器とは異なる独自の厳しい要件が求められます。単に動けば良いというわけにはいきません。
製品化には、安全性や信頼性、コストといった様々な要素を高いレベルで満たす必要があります。試作段階では見落としがちな、電子玩具ならではの製品化のポイントについて解説します。
子ども向け電子玩具の「安全」を考える
電子玩具の製品化で最も重要なのは安全性です。子どもが使うことを前提に、予期せぬ事故を防ぐための配慮が設計のあらゆる段階で必要になります。日本では主にST基準がその指針となります。
ST基準とは何か
ST基準は一般社団法人日本玩具協会が定めている、玩具の安全基準です。電気機械器具玩具については、電気用品安全法(PSE)の技術基準に加えて、さらに細かな安全要件が定められています。
ST基準には、主に以下の項目が含まれます。
- 機械的安全性(小部品の誤飲、鋭利な縁、指挟みなど)
- 可燃性(燃えやすさ)
- 化学的安全性(有害物質、フタル酸エステルなど)
- 電気的安全性(感電、過熱、ショートなど)
特に、乳幼児が口に入れる可能性のある小部品の誤飲対策は非常に重要です。直径31.7mm、長さ51mmの円筒ゲージに収まる部品は、誤飲の危険があると見なされます。ボタンやネジ、電池蓋など、子どもが触れる可能性のあるあらゆる部品について、誤飲や窒息につながるリスクがないか検討が必要です。
また、電気的な安全性についても、過熱や発火を防ぐための保護回路や絶縁設計が求められます。電源部や充電回路は特に注意が必要です。製品がST基準を満たしているかどうかは、日本玩具協会が認定する検査機関での試験が必要です。最新の情報は日本玩具協会で確認してください。
電気用品安全法(PSE)と電波法(技適)
電子玩具がACアダプタを使用する場合や、リチウムイオンバッテリーを内蔵する場合は、電気用品安全法(PSE)の対象になります。また、BluetoothやWi-Fiなどの無線機能を搭載する場合は、電波法に基づく技術基準適合証明(技適)の取得が必須です。これらの認証は製品の販売に不可欠であり、設計段階から考慮しておく必要があります。当社では、これらの認証取得を設計段階から支援しています。
電源設計と電池の安全性
電子玩具の電源は、多くの場合、乾電池か充電式電池(リチウムイオンバッテリーなど)を使用します。どちらを選ぶかによって、安全性への配慮やコスト、使い勝手が大きく変わります。
電池の種類と安全性
リチウムイオンバッテリーは小型で大容量ですが、過充電・過放電・過電流・短絡などに対して保護回路が必須です。また、子どもが簡単に取り出せない構造にする、電池ケースをネジ止めにするなど、誤飲や危険な操作を防ぐ工夫が求められます。乾電池の場合も、液漏れや逆挿入対策、電池蓋の固定方法を検討します。
充電式の電子玩具では、充電回路の設計も重要です。安全な充電電圧・電流の制御はもちろん、異常時のシャットダウン機能なども必要です。
コスト目標の立て方と量産への道筋
製品化を考える上で、コスト目標の設定は避けて通れません。試作品のコストと量産品のコストは大きく異なります。目標販売価格から逆算して、部品単価や製造費用を割り出す「原価目標」を明確にすることが重要です。
量産台数と製造方法の選択
少量生産(10台〜100台程度)であれば、汎用ケースや市販のモジュール基板を活用し、足りない部分だけを設計・製造する方法がコストを抑えられます。しかし、1,000台以上の量産を目指す場合、金型やオリジナル基板への投資が視野に入ってきます。
例えば、日本でプラスチックの金型を1型起こす場合、およそ100万円が目安です。この金型費用を、目標とする生産台数で割って、1個あたりの製品原価に上乗せして考える必要があります。金型は初期投資が大きいですが、量産効果で1個あたりのコストを大幅に下げられます。
筐体の試作では3Dプリントが手軽ですが、表面の積層痕が目立つことがあります。人に見せる製品サンプルには、CNC削り出しなど別の工法を選ぶこともあります。CNC削り出しは1個の加工に10〜13時間かかることもあるため、量産には向きません。
部品調達と海外生産の選択肢
部品の調達コストも量産では重要です。当社では、台湾・韓国・中国に直接の取引ルートがあり、お客様の製品コンセプトに合う既存の類似製品をOEM・ODMで調達することも可能です。これにより、開発期間やコストを大幅に削減できる場合があります。
サイコス・ジャパンにできること
サイコス・ジャパン株式会社は、1990年創業以来35年にわたり、製品開発から量産までをワンストップで支援してきました。機構設計、電子基板設計、組み込みソフト、クラウド、量産、OEM支援まで、製品づくりの全工程を社内で一貫して対応します。各担当者が同じ拠点にいるため、密な連携を取りながら効率的に開発を進められます。
当社では、これまで50件を超える製品開発を支援し、累計200万個以上の製品を出荷してきました。他社や個人、フリーランスの方が作った試作品をお持ち込みいただき、製品化を支援するケースも多くあります。小ロット(数百個〜)からの量産にも対応し、技適やPSE、ST基準などの認証取得も設計段階からサポートしています。初回相談は無料ですので、電子玩具の製品化でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
試作品のイメージをお持ちの方は、写真と経緯のメモだけでも構いませんので、まずご相談ください。