筐体機構

板金筐体と樹脂筐体の選び方、少量生産でのコスト比較

板金筐体と樹脂筐体の選び方、少量生産でのコスト比較

板金筐体と樹脂筐体の選び方、少量生産でのコスト比較

製品開発を進める中で、試作まではできたものの、いざ製品化を考えたときに「どんな筐体を選べばいいのだろう?」と悩む方は少なくありません。特に、まずは少量で市場に投入したい、あるいは特定の用途で少数を生産したいといった場合、筐体の材料選びはコストや納期に直結する大きな課題です。

板金と樹脂は、電子機器の筐体として広く使われる代表的な材料です。それぞれに特性があり、少量生産でのコストやデザイン性、機能性に大きく影響します。ここでは、加工方法、初期費用、単価、納期、外観といった観点から、それぞれの特徴と選び方のポイントを解説します。

板金筐体の特徴と少量生産でのメリット

板金筐体の最大の利点は、金型が不要な点です。鉄、ステンレス、アルミなどの板材をレーザー加工機やタレパン(タレットパンチプレス)でカットし、プレスブレーキで曲げ加工を施し、必要に応じて溶接で組み立てます。この加工プロセスのため、初期費用を抑えられます。

試作から少量生産まで、比較的短期間で製作できる柔軟性も魅力です。堅牢性が高く、放熱性にも優れるため、産業機器や屋外設置機器、サーバーラックなど、強度や耐久性が求められる製品に適しています。表面処理として塗装やメッキ、アルマイト加工などを施すことで、耐食性や意匠性を高めることも可能です。

一方で、デザインの自由度は樹脂に比べて限られます。複雑な曲面や一体感のある形状を作るのは難しく、組み立てにはネジや溶接が必要になるため、外観が工業的になりがちです。また、材料自体が重くなる傾向にあります。

樹脂筐体の特徴と加工方法

樹脂筐体は、射出成形が一般的な加工方法です。溶かした樹脂を金型に流し込み、冷却して固めることで製品が完成します。金型が必要となるため、初期費用が高額になる点が大きな障壁となります。

しかし、一度金型を作ってしまえば、複雑な形状や一体成形が可能になり、デザインの自由度が非常に高まります。軽量化や高い意匠性を求める製品、例えば家電や民生品、医療機器などには樹脂が適しています。また、電波透過性を持つため、無線通信機能を搭載するIoT機器などにも多く用いられます。

射出成形以外にも、樹脂筐体製作の選択肢として3DプリンターやCNC切削が挙げられます。3Dプリンターは、機能試作には十分な精度ですが、積層痕が見えるため、人に見せる製品サンプルとしてはCNC削り出しが使われることが多いです。CNC削り出しは、ブロック状の樹脂から削り出すため、高い精度と美しい仕上がりが得られますが、一個の加工に10〜13時間かかることもあり、量産には向きません。

少量生産におけるコスト比較と選び方のポイント

少量生産において、板金と樹脂のコストを比較する際には、初期費用と単価のバランスが重要です。

板金筐体は、初期費用を抑えたい場合に有利です。 金型費用がかからないため、数十個から数百個程度の生産であれば、トータルコストで樹脂筐体よりも安価になるケースが多いです。納期も比較的短く、設計変更にも柔軟に対応しやすいメリットがあります。

一方、樹脂筐体で射出成形を選ぶ場合、金型製作に大きな初期投資が必要です。日本で金型を1型起こすには、およそ100万円が目安となります。この金型費用を回収するためには、ある程度の生産台数が必要になるでしょう。当社では、1,000台以上の台数で金型やオリジナル基板への投資が回収できる可能性が出てくるとお伝えしています。

そのため、試作段階やごく少量の生産では、既製品の汎用樹脂ケースを加工して使う、あるいは3DプリンターやCNC切削で対応することが現実的な選択肢となります。

台数と用途に応じた筐体材料の選び方

製品の筐体材料を選ぶ際は、以下の点を総合的に考慮することが大切です。

  • 生産台数と予算:初期投資を抑えたいか、量産時の単価を重視するか。
  • デザインと外観:どのような意匠性やブランドイメージを求めるか。
  • 機能要件:強度、軽量化、放熱性、防水防塵性、電波透過性など。
  • 納期:開発スケジュールに合わせた柔軟な対応が可能か。

例えば、まずは市場の反応を見たい、特定のイベントで少数を販売したいといった場合は、初期費用が安い板金筐体や、既製品の筐体を活用するアプローチが有効です。当社では、10台から100台程度の少量生産では、既製品の筐体や部品を最大限に活用し、足りない部分だけを設計するアプローチを提案しています。これにより、金型費用を回避し、初期費用を抑えながら製品化を進めることが可能です。

本格的な量産や、ブランドイメージを確立するようなデザイン性の高い製品を目指す場合は、初期投資をしても射出成形による樹脂筐体を選ぶメリットが大きくなります。もちろん、将来的な量産を見据えて金型製作を視野に入れる場合も、適切な材料選定と設計支援を行っています。

サイコス・ジャパンができること

製品のコンセプトや事業計画によって、最適な筐体材料と加工方法は異なります。サイコス・ジャパン株式会社では、機構設計から電子回路、基板、組み込みソフト、クラウド、量産まで、製品づくりの全工程を一社で取りまとめてきた経験から、お客様の製品に最適な筐体選びをサポートします。試作品をお持ちの方は、写真と経緯のメモだけでも構いませんので、まずご相談ください。

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