中国での製造が楽しいのは

もう数年中国の工場に足を踏み入れていないので、なんとも物足りない日々だけど、、、

特にコロナが始まってからは本当に軽く行けなくなった。昔は、ちょっと行ってこよーっと思い、飛行機のチケットをとって香港経由でよく入った。時には、台湾経由ではいったり、ソウル経由ではいったり…懐かしい

中国ビジネスが楽しいのは、たまたまかもしれないけど、私がお付き合いした人のビジネスに対する豪快さ、ハッタリ感?勢い?が私とピッタリだったから

日本人の悪い?か良い?かはわからないけど、何か物を進める時にやけに慎重で真面目で、必ずいうことは『嘘をついてはいけないから』と言って控えめに物を申すところ。

『●●さん!これはどの位製造しますか?どの位売れそうですか?売る予定ですか?』

『そうですね…多く売れればそりゃー越した事ないのですが、夢を言って嘘になってはいけないので、まあとりあえずは1万個を目指して、最初の製造は1000個位から…』『とりあえずまず最初のロットでは300個ほどで』

だいたいがこんな感じで話がはじまる。

私が最初に手がけた携帯電話のURLアダプタは、最初のロットから2万個で始まった。かなり景気の良い製品でトータル3年くらいで80万個ほど製造した。この製造の時に、工場でプレゼンをさせられた。初めての中国なのに、えらいこっちやった。

工場の方々が約10人ほど、全社異なる担当。金型から成形から印刷まで、あらゆる工場の方が集まった前で、ホワイトボードを背に自己紹介と製品説明から始まった。もちろん中国語への通訳を通してだけど。

とにかく負けず嫌いで人が多いとテンションが上がるのが私の悪い癖….やっちまった。

『この製品は日本で初めての製品だ!どこも作れない製品でお客様はこれで上場狙っている。だから100万でも200万個でも作る予定だ!日本の店に配りまくるそうだからそりゃ凄いだろう!お客様はかなり売りまくると言ってる!だから私もこれをベースに中国製造を皆さんとやっていって、でかい夢を叶えたい』

的な話をしてしまったような…

これが受けた。中国語で言われた。『私たちはビジネスをしたい!でかいビジネスだ!だからビジネスの勢いと夢を語ってくれ!それができなくても嘘ではない!そうしたいと思うから、夢を叶えようと頑張る!それに私たちは一緒に仕事をする』

確かこんな話しだった。

その後は例のごとく、どこのだれやさんかわからない大人数で、乾杯の嵐。タバコの回し吸いからなにやらわけのわからないハシゴがはじまる。

ま、翌日は間違えなくいつもゲロゲロ状態から工場回りがはじまる。だけどみなさんはスッキリした顔で普通に出迎えてくれる。こちらはゲロゲロ状態…

そしてまたその夜も…みんなで乾杯をしながら200万個の製造の話で盛り上がり夢でのむ!

これが楽しいわけです。そして、結局は80万個でも、嘘ではなかった。夢だから。みんなええ仕事してくれました。一切トラブルなしの納品で、みんなよう儲けました。

こんな製造、またできないかなあ…


中国製造でのサンプルは

製造において、日本の場合必ずといっていいほどサンプルを要求されます。

まずはサンプルをもらって評価をし、それでいけそうなら試作に入り量産にはいります。当然、試作もサンプルがいるわけですが..,

しかし、中国製造においてこのやり方は結構失敗する事が多い。なぜなら、中国工場がいうサンプルと日本が求めるサンプルへの思いがちがうからではないか?

日本はサンプルというと、もう、それがベースでほぼその品質とその作りで製品が出来上がると期待する。つまり、そこで製品の良し悪しまで判断してしまうことが多い。

しかし、中国におけるサンプルは、本当のサンプルであり、それが製品のできを期待するサンプルではない。ようは、どんなものか?を見てもらうためのサンプルである事が多い。

なので、サンプルを注文すると、やけにボロボロでいかにも手作りのようなものであったり、明らかに倉庫から引っ張りだしてきた傷だらけのボロボロであったり、

逆にやけにゴージャスでなんとも言えない、こりゃなんだ?成金か?高いんじゃないか?なんてものももとどいたりする。

結局、評価には至らないレベルのものが多く、これで出来上がりを想像できるはずがなかったりする。ただ、すでに市場に流通しているもののサンプルとしては、その製品そのものが送られてくるので、十分評価はできる。

しかし、本当に何度もやられてしまう事が多い。

タオバオやアリババで見つけた製品のOEMを検討する場合は必ずサンプルとしてその製品を注文するのだけど、写真とは程遠いものが届く事が多い。やっちまった!か、あーあ、やっぱりか!

豪華でガッチリ素敵ないかにもしっかりしているプラスチックの扇風機、こりゃこの値段で凄いな!どうせサンプル注文するのなら、うちの家にも追加で2台ほど….何度やっても失敗する。届いたサンプル…開けてみると、なんじゃこりや…ポリバケツのような扇風機が届いたりする。おまけに、電気入らず、ただのオブジェかゴミ化してしまう事で多々あり….中国アルアルがよくある。

ただそれだけではない。良心的にしっかり写真通りのものがあったり、写真以上のものが届いたりすることも多くある。

これも大体アリババならチャットで話をしているうちにわかる。あ!こりゃ危ないなとか、お!なかなかいけそうだ!とか…

ま、しかし、サンプルだし…しょうがないか!金捨てるつもりでサンプルを買うのだから….


中国製造の始まり

1999年に、あるお客様様のご依頼で、ガラケーの後ろに装着する、ワンタッチURLアダプタを開発し、この製造を中国で行うことがきっかけで、中国製造に乗り出しました。

当時は、中国でのOEMやODMが盛んに行われている頃で、当社もその波に結果的に乗ったのですが、実はその市場を理解しているわけではないので、とにかくこの製造を安全に終わらせることが第一の目的でした。

そのためにまず行った事は、製造工場とファミリーな関係になって、できるだけ問題を起こさないように事を進められるようにすること。とにかく、中国や台湾は行ったこともなければ、製造などという仕事もしたことないわけで、どんなことが起こるのか?もわからない世界でしたので、、、できることといえば、とにかく仲良くなってなんでも一緒に考えられる関係を作る事でした。

幸い、工場の方は、親日家の台湾の方で、工場を中国の東莞に持っていらっしゃるだけでしたので、非常に仲良く色々な問題を乗り切ることができたことが、ここまで来る事ができたベースだと信じております。

今もその関係は継続しており、おかけか様で、しごとはじめからいままで、やく22年間、仕事上のトラブルもしはらいのトラブルもなく、仲良く進めることができています。

サイコスジャパンという会社は、スタートは、台湾の方と私の合弁で設立したので、いまでも仲の良い関係は続いており、中国製造を頻繁に行なっています。※すでにサイコスの株はすべて私の所有となっていますが、、、

最近では、小ロット多品種になってきており、昔ほどの大口注文にはなかなか至らないものの、それでも丁寧に根気よく品質重視でいられるのは、こういったファミリーとしての現地を取り仕切ってくれる仲間が水際対策をしてくれているからだと、いつも感謝をして中国製造を楽しんでいます。

金型成形から電子製造まですべて臨機応変に対応でき、アリババやタオバオなどをうまく使いこなしながらOEMをうまくやれていることが本当にありがたく楽しい仕事です。

特に電子雑貨は人を楽しませる、笑顔を作るものが多いので、ひとつひとつが本当に楽しく新鮮で勉強になります。

回路技術から金型、整形、金属加工、印刷、ガラス、陶器、あらゆる製造方法を使って様々なエンタメ商材を作る楽しみは、何にも変え難い楽しみのひとつです。