QuickAccess

Case Study — 2005-2015

QuickAccess

ガラケー用URL自動アダプタ

一言の相談から、
世界1,000,000 pcsの出荷へ。

コンマ1ミリの精度、1円単位のコスト、そして最後は『執念』が、
この1,000,000 pcsを動かした。

The Challenge

相談の始まり

「携帯のお尻に刺すだけで、URLを自動表示できる製品を安くで作れない?」

— クライアントからの一言

2000年、ある企業からの一本の相談電話が、このプロジェクトの始まりでした。 当時、ガラケー全盛期において、「携帯電話に挿すだけで特定のURLを自動表示させる」という アイデアは革新的でしたが、同時に大きな技術的課題を抱えていました。

技術的課題

  • 各キャリアで異なる制御プロトコル
  • 機種ごとの動作差異への対応
  • 極小サイズでの回路実装

コスト制約

  • 販売価格:数百円という厳しい設定
  • 量産を前提としたコスト設計
  • 金型費用の回収計画

私たちは、この「技術的困難」「コスト制約」という二重の壁に、 真正面から向き合うことを決めました。

Technical Deep Dive

技術的深掘り

コネクターの独自開発

docomo、au、SoftBank。それぞれのキャリアで、携帯電話の外部接続端子の形状は異なっていました。 私たちは、各キャリアごとに独自形状のコネクターを設計する必要がありました。

コンマ数ミリの精度が要求される、 極めて難易度の高い開発です。わずか0.1mmのズレが、接触不良や端末の破損につながります。

設計図を何度も引き直し、試作を重ね、実機での検証を繰り返す。 この地道な作業の積み重ねが、1,000,000 pcsの安定供給を支えました。

精密なコネクター設計

各キャリア専用コネクターの精密設計

基板のクローズアップ

極限までチューニングされた基板

マイコンのチューニング

当初、私たちはMicrochip社のPICマイコンを採用していました。 信頼性は高いものの、コスト的には厳しい。 クライアントが求める「数百円」という価格を実現するには、さらなるコストダウンが必要でした。

そこで、私たちは台湾エラン社の「数十円の小さなマイコン」へと舵を切りました。 しかし、このマイコンはメモリも処理能力も限られています。

プログラムを1バイト単位で削り、アルゴリズムを最適化し、極限までチューニングすることで、 このマイコンで動作させることに成功しました。 技術的妥協なき、コストダウンの達成です。

「コストという制約は、技術者の創意工夫を引き出す。それが、私たちの真骨頂である。」

— プロジェクトリーダー

The Battlefield

現場の執念

中国工場での実機検証

量産を開始する前、私たちは数十台の携帯電話を中国へ持ち込みました。 docomo、au、SoftBankの各機種。それぞれの実機で、QuickAccessが正しく動作するかを検証する必要がありました。

工場の一角を借り、朝から晩まで、端末を挿しては抜き、動作を確認し、データを記録する。 機種ごとの微妙な違い、温度による動作の変化、長時間使用での劣化。

この地道な検証作業が、 1,000,000 pcsという大規模出荷を支える品質を作り上げました。

中国工場での検証風景

数十台の携帯電話を持ち込んだ実機検証

Crisis & Execution

納期寸前の危機

量産開始の直前、予期せぬ事態が発生しました。検証用の実機が、突然故障したのです。

納期は目前。中国工場では、すでに金型が完成し、製造ラインが待機している。 このままでは、最終検証ができず、量産開始を延期せざるを得ない。

私たちは、朝一番の飛行機で代替機を中国へ輸送することを決断しました。 京都から関西国際空港へ、そこから深圳へ。 社員が手荷物として端末を運び、到着後すぐに工場へ直行。

その日の夜、工場で最終検証を完了し、翌朝から量産を開始することができました。 納期は守られ、クライアントとの約束は果たされました。

「技術だけでは、製品は生まれない。最後は、人の執念が完遂させる。」

The Solution

技術的完遂

01. 解析

Protocol Analysis

ガラケー制御プロトコルの徹底解析。docomo、au、SoftBankの各キャリアの仕様を読み解き、 自動表示誘導のロジックを確立。

02. 設計

Circuit & Mold Design

Microchipを使用した極小回路設計。数百円という厳しいコスト制約の中で、 信頼性と量産性を両立させる筐体・金型設計を実現。

03. 量産

Mass Production

中国工場での金型製作から製造、品質管理まで一貫支援。 累計1,000,000 pcsの安定供給を実現し、クライアントの事業を成功に導いた。

技術仕様

マイコン
初期: Microchip社製 PIC 8bitマイコン
最終: 台湾エラン社製 8bitマイコン(コスト最適化)
対応キャリア
docomo / au / SoftBank(各キャリア専用コネクター)
サイズ
約20mm × 30mm × 5mm
製造地
中国(深圳)工場
生産期間
2005年 - 2015年(10年間)
累計出荷数
1,000,000個

コスト最適化の成果

60%

マイコンコスト削減

0.1mm

コネクター精度

3種

キャリア別設計

The Result

成果

1M pcs

累計出荷実績

10年

継続的な供給

3社

キャリア対応

クライアントの事業は大きな成功を収め、QuickAccessは多くのユーザーに利用されました。 私たちは、「一言の相談」を受け止め、 技術的困難を乗り越え、1,000,000 pcsという実績として結実させることができました。

そして私たちは、成功の瞬間に静かに退場しました。
それが、私たちの役割です。

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